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材料科学における画期的な進歩により、水からリチウムを選択的に抽出するように設計された新しい膜が開発され、この重要なエネルギー金属の膨大な未開発埋蔵量が解き放たれる可能性があります。
従来のリチウム採取は、硬岩採掘と塩湖の蒸発に大きく依存していますが、地球上のリチウムの大部分は実際には海水や地下の塩水に溶解しています。しかし、これらの資源からリチウムを分離することは、競合イオンの存在により、歴史的にコストがかかり非効率的でした。
新開発の膜は、水中のイオンをその大きさと電荷に基づいて分離する働きをします。不要な陽イオン(正電荷イオン)を除去しながら、リチウムをより効率的に分離できるように設計されています。
膜自体は、天然に豊富で比較的安価な粘土鉱物であるバーミキュライトでできています。特殊な技術により、この材料は10億分の1メートルという極薄のシート状に剥離され、その後、層状のろ過構造に再組み立てされます。
水性環境下における構造的完全性を維持するために、層間に微細な酸化アルミニウム柱が挿入されています。これは安定化支持体として機能し、膜の表面電荷特性を制御するのに役立ちます。
この設計における重要な革新は、膜の表面電荷を変化させることでリチウム選択性を向上させることです。ナトリウムイオンを導入することで膜の電荷プロファイルが変化し、リチウムイオンをより強く引き寄せ、マグネシウムなど、同程度の大きさだが望ましくないイオンをはじきます。さらにナトリウムイオンを追加することで細孔径がさらに狭まり、ナトリウムやカリウムなどの小さなイオンは通過し、大きなリチウムイオンは保持されます。
イオン半径と電荷の両方で区別するこの二重メカニズムのアプローチにより、海水や塩水などの希薄な供給源からのリチウム回収率が大幅に向上します。
選択的イオン分離におけるこうした進歩は、より多様で国内で入手可能なリチウム供給への道を開く可能性があります。また、地理的に集中した採掘事業への依存を減らし、これまで採算が取れないと考えられていた地域における新たなリチウム調達形態への扉を開く可能性も秘めています。
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